イジワル上司に恋をして(ミルククラウン)【番外編】
「鈴原さん……知らないんですか?」
「え? な、なにが?」
「うちのケーキなんて、クリスマスは余ることなんかないはずですよ。全部はけちゃって」
「……え?」
「そのくらい人気なんです。昨日仕事終わってからなんて買えないですよ。つまり、それはカレシさんがわざわざ用意してくれたってことですよね?」
え……。
じゃあ昨日のあれは……いくらアイツでも手に入れるの大変だったんじゃ……。
「おはよう」
絶妙? いや、最悪のタイミングで現れたのは、話の渦中のアイツ。
「あ! 黒川さん、おはようございますっ。今日はお休みじゃなかったんですね!」
「昨日残業したからね。重役出勤てやつ。ま、結局仕事は仕事だし、なんか落ち着かないからもう来ちゃったけど」
「あ、そうなんですか! ……あれ? なんかいい香りしますね?」
「……気のせいじゃないか? それか、茶葉かな」
二人の会話を目の当たりにしているわたしは、心臓がはちきれそう。
この場から去りたいけど、足が動かず。
……お願い美優ちゃん! それ以上そこに突っ込まないで!!
渾身の力を込めて小さく手を合わせて祈るけど、まったく美優ちゃんに届くはずもなく……。
「あ~。黒川さん、もしかして! 彼女できたんじゃないですか?! 彼女からのクリスマスプレゼントだったりして!」
ボッと顔から火が出したわたしは、ふたりに背を向けるように商品整理のふりをした。
こんな顔見せられない!
どうにか心を落ち着けるようにがんばりながら、優哉をちらりと窺う。
すると、わたしと目が合うなり、ヤツもちょっとだけ頬を赤くしてプイッとそっぽを向いてしまった。
……コイツでも照れることあるんだー。
――なんて、少し珍しい顔を見れて得した気もしたのは黙っておこう。
相変わらず美優ちゃんを上手くあしらって行った、猫かぶり上司。
でも、一瞬見てしまったあの照れ顔に思わず吹き出してしまう。
そんな優哉との初めてのクリスマス。
きっと一生忘れなさそう。
おわり
「え? な、なにが?」
「うちのケーキなんて、クリスマスは余ることなんかないはずですよ。全部はけちゃって」
「……え?」
「そのくらい人気なんです。昨日仕事終わってからなんて買えないですよ。つまり、それはカレシさんがわざわざ用意してくれたってことですよね?」
え……。
じゃあ昨日のあれは……いくらアイツでも手に入れるの大変だったんじゃ……。
「おはよう」
絶妙? いや、最悪のタイミングで現れたのは、話の渦中のアイツ。
「あ! 黒川さん、おはようございますっ。今日はお休みじゃなかったんですね!」
「昨日残業したからね。重役出勤てやつ。ま、結局仕事は仕事だし、なんか落ち着かないからもう来ちゃったけど」
「あ、そうなんですか! ……あれ? なんかいい香りしますね?」
「……気のせいじゃないか? それか、茶葉かな」
二人の会話を目の当たりにしているわたしは、心臓がはちきれそう。
この場から去りたいけど、足が動かず。
……お願い美優ちゃん! それ以上そこに突っ込まないで!!
渾身の力を込めて小さく手を合わせて祈るけど、まったく美優ちゃんに届くはずもなく……。
「あ~。黒川さん、もしかして! 彼女できたんじゃないですか?! 彼女からのクリスマスプレゼントだったりして!」
ボッと顔から火が出したわたしは、ふたりに背を向けるように商品整理のふりをした。
こんな顔見せられない!
どうにか心を落ち着けるようにがんばりながら、優哉をちらりと窺う。
すると、わたしと目が合うなり、ヤツもちょっとだけ頬を赤くしてプイッとそっぽを向いてしまった。
……コイツでも照れることあるんだー。
――なんて、少し珍しい顔を見れて得した気もしたのは黙っておこう。
相変わらず美優ちゃんを上手くあしらって行った、猫かぶり上司。
でも、一瞬見てしまったあの照れ顔に思わず吹き出してしまう。
そんな優哉との初めてのクリスマス。
きっと一生忘れなさそう。
おわり