それでも愛してる。




「ず、ずぅ…。」


「ずぅ?」


【はてな】を浮かべた
太陽の顔を見れずに
私はぶっちょうずらで言った。


「図々しいぞ…。」


黙っている太陽をちらり見上げると
やっぱり笑っていて


「せっかく前の愛菜に戻ったと
思ったのにやっぱりつんつん愛菜か」


「ま、まて…。」


ん?とまた首を傾けた。


「今日だけは許す…。
おまじないのお礼…。」


少し照れくさい。


太陽の手を掴みおデコにつける。


「私からも教えてあげる」


そう言って私は目を閉じた。


「私の楽しい思い出や
嬉しかった事、あったかい気持ちを
ちょっとだけわけてあげる。」


静かに流れる時の中の
それがほんの1部の出来事だったとして
太陽も私もすぐに忘れちゃったとしても

その【出来事】は永遠に消えないって


そう思った。




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