それでも愛してる。





「ありがとうー…。」


何度もそう言って愛子さんは笑う。

きっとお礼は私が言うべき
ものだったんだ。


「幸せになって…。」


下手くそな笑顔が
ぐちゃぐちゃな涙顔を照らす。


頷く愛子さんを見て
私は嬉しくなった。


ー…と。


ピーンポーン。
今日で2人目の訪問者。


「わ、私出る。」


イスから立ち上がり玄関へと向かった。


ガチャっと鍵をあけて
顔を上げるとー…。

見たこともない男の人。

ヒゲが生えてて背も高い。
オシャレな服を身にまとった
かっこいい人。


「愛子さんいますか?」



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