それでも愛してる。
変化 ー愛菜ー
「いってきます。」
昨日は愛子さんと龍人さんと
話をした後すぐに寝てしまった。
そして朝、玄関のドアを開けて
私は靴をコンコンと床に打ち付けて履いた。
エレベーターのボタンを押す。
と。
静かに横に立ったのは、太陽だった。
何だか今日はいつもと違う。
何が違うのかわからないけど
今日は笑ってない気がする。
「おはよう。」
それでも太陽はへらり笑顔だ。
嘘くさい笑顔…。
「おはよ。」
エレベーター内も沈黙のまま。
やっぱり太陽昨日の事
気にしているのか。
私があんなに言ってしまったからだろうか。
それとも愛子さんの妊娠?
エレベーターをおりて歩いている最中も
考えたけれど
やっぱり何が原因かわからない。
「太陽…?」
聞いてみようと声をかけるが
太陽は考え事をしているのか
遠目だ。
「ー…。危ない!!」
ブレーキ音が響く。
驚いた顔をした太陽を抱きしめる形で
私は立っていた。
「あぶねぇだろ!?」
口の悪い兄ちゃんが
クラクションをならして走り去る。
「す、すみません。」
前とは逆の立場になった…。
それでやっと太陽は
我に返る。
「何ぼーっとしてんのよ。」
太陽を離して歩く私。
「ごめんー…。」