それでも愛してる。




私は立ち上がり教室を出た。


同じ時に出てきたのに
太陽が来ない。


どこだろう。


と。


「太陽今日どうしたんだろうな?」


「なんか黙って行っちまったけどさ
失恋でもしたのかね。」


「あの太陽が?まっさか~!!」


その男子の会話を聞き
思い出したのはー…。


私は方向転換し
階段をのぼった。



「太陽!!?」


ガチャっと開けたドアから
私は叫んだ。


ゆっくりと前に進む。


「太陽…。」


私の視線の先には
手を上げて目をつぶる太陽の姿。


いつか私に教えてくれた
あのおまじない…。


「愛菜…。太陽はもう俺に
力はくれないらしい…。」


雨とは違う水が太陽の頬を伝う。


「そうだよね…。俺最低だし
太陽も同じ名前で嫌になっちゃったんだ。」


微笑する太陽はまるで
抜け殻のようだった。


そんな姿を見て
なんと声をかけていいのかわからない。




< 57 / 115 >

この作品をシェア

pagetop