それでも愛してる。




私はスーっと息を吐いて
笑った。


「お前はムダに笑顔な方が
素敵だと思う。」


ふわりと風が私達を包む。


濡れた髪をかきあげ
太陽は笑った。


「ぷっ。ムダとかゆーな!!」


そうやっていつもと同じく
微笑んだ。


よかった。


いつもの太陽だ。


「ありがとう、愛菜。」


「お礼はいいよ。
前助けてくれたお返しだと思っておけ。」


雨が止み空が割れた。


「あっー…。」


指を指すから見上げてみると
黒い雲の隙間から
青空が現れた。

そして太陽ー…。


「ほら、太陽は見捨ててなかったよ。」


私はそう言って先に教室へと戻った。




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