それでも愛してる。




「え、アレだれ?」


「うちの学校にあんな子いたっけ?」


「めっちゃ可愛い…。」


「ちょ、声かけてこいよ。」


「や、やめろ、お、押すなって」


何だか今日はみんな騒がしい。

自意識過剰なのかもしれないが
何やら視線を感じる。


自分の前髪を持ってそれを見てみる。
やっぱり私には似合わなかったのか…。


ちらり、横を見ると
3人組の男の子。


またなんの言いがかりをつけられるのかと
構えていると…。


「あ、あの!!俺川田遊助。」


太陽とは違って髪は茶色で
ピアスもしてる。

チャラい感じの子だ。


「何でしょうか。」


私はその人に向き合い
構えた。


「や、その。名前聞いてもいいかな?」


名前ー…。
知っているはずなのに。


「鈴野愛菜。」


そう言って立ち去ろうとしたら
川田って人は私の手を掴んだ。


「鈴野愛菜。覚えたから。」


そう笑ったから
私はぶっちょうずらして見せた。


「ー…。私も覚えた。お前の名前。」


「俺のことは何て呼んでもいいからさ!!」


この人…。
太陽と似てる。
前言撤回だ。


「じゃあ川田で。」


私はそれだけ言うと玄関へと向かった。


初めてだ。
太陽以外で悪口以外で
話しかけてくれた男子はー…。




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