それでも愛してる。




「私何もしらなかったかも。」


落ち込む私に川田は言った。


「太陽もあんまり自分の事
ベラベラ話すタイプじゃないからさ
知らなくて当然だよ。

俺の予想だけどさ
結婚しちまって引越すんだろ?
また母親が離れて行くって
思ったんじゃないかな。

また1人になるってー…。」


なんとなくわかる気がした。

1人になりたくないって
その気持ち…。


「愛子さん、今日行っちゃうんだ。」


どうしてあげることもできない。

結局家族の事は
他人がどうこうしてやれる事では
ないからー…。




「俺は学校戻るけど
愛菜はどうする?」


「私は今日は行かない。」


川田と別れて私はまた1人
ベンチに座る。


唇に重なったものは
太陽の唇だった。


初めてのキスがあんなに冷たい
ものだったなんて。


太陽はあの時何を思ってたんだろ。


ドクンー…。


まただ。
また胸が痛い。


何なんだろう。
この胸の痛みは。


太陽の事を考えると鈍い痛みがする。


息も苦しくなる。


風邪…引いてしまったのだろうか。




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