それでも愛してる。




しばらく歩くと
川田は立ち止まった。


「ほら、見て愛菜。」


指を指すその先には
あおい海が広がっている。


「きれい…。」


大きな海は穏やかで
太陽の姿を探した。


「この近くのボロいアパートに
いると思うよ。」


指を指す先には本当にボロい
アパートがあった。


「ボロボロだー…。」


慌てて口をおさえるけど
川田は聞き逃していなくて
ハハハって笑った。


「…。行っておいで。俺は待ってるから。」


「え、一緒に行かないの?」


私がボロいアパートを
指さしてそう言ったら川田は
へらり笑った。


「俺が行ってもさ、意味ないじゃん?」


その理由がわからなかった。
私よりも付き合いの長い川田の方が
太陽も話しやすいんじゃないか。


「行ってこい。」


「わ、わかった。」


私はそのアパートに向けて
一歩一歩踏み出した。


「おーい、手と足同時に出てるぞ。」


「!!!!!!うるさい!!」





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