それでも愛してる。
「それならこの上だぞ。
昔はよく海で遊んでたな。
昨日久しぶりに帰って来たと思えば
部屋にこもりっきりでよ。」
そうやってその人は
どこかへ行ってしまった。
「あ、ありがとうございました。」
頭を下げて私は錆びた階段をあがった。
部屋の前に立ち止まり
インターホンを押すか押さぬか
手を出したり引っ込めたりしていると
さっきのおじさんが戻ってきた。
「おい、あんたまだいたのか。
何してんだ。」
「その、押すか迷ってしまって。」
そう言うとは?と言った。
「ー…。すみません。行きます。」
なんか怖かった。
ピーンポーン。