それでも愛してる。




「それならこの上だぞ。
昔はよく海で遊んでたな。

昨日久しぶりに帰って来たと思えば
部屋にこもりっきりでよ。」


そうやってその人は
どこかへ行ってしまった。


「あ、ありがとうございました。」


頭を下げて私は錆びた階段をあがった。


部屋の前に立ち止まり
インターホンを押すか押さぬか
手を出したり引っ込めたりしていると


さっきのおじさんが戻ってきた。


「おい、あんたまだいたのか。
何してんだ。」


「その、押すか迷ってしまって。」


そう言うとは?と言った。


「ー…。すみません。行きます。」


なんか怖かった。


ピーンポーン。




< 98 / 115 >

この作品をシェア

pagetop