不機嫌な君
「先生！金崎部長は⁈」
必死な目で先生を見つめる。

…すると、先生は、柔らかな表情を見せた。

「…血の量のわりに、傷は大したことありませんでした。内臓も傷ついてませんし、傷口がひっつけば、退院出来ますよ」

その言葉に、私は座り込んでしまった。
そんな私を、先生と葉月さんがゆっくりと立たせる。

「…怖い思いをしましたね。でも、もう大丈夫ですから、金崎さんの傍にいてあげて下さい」

「…はい」

「…よかったね、ひとみちゃん」
「…先生、ありがとうございました！」

葉月さんは、私の肩を優しく撫で、圭介さんは先生に深々と頭を下げた。

…それから、金崎部長は個室に移され、私は、葉月さんが用意してくれた服に着替えると、病室に入った。

…金崎部長は、まだ、麻酔が切れていないらしく、眠っている。

私が入って来た事に気付いた圭介さんは、葉月さんを連れて病室を後にした。

「…明日は仕事休んで、右近の傍にいてやってくれよ」

そう言い残して…。
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