不機嫌な君
麻酔はまだ完璧に抜け切っていない。私は金崎部長の手を、いつまでも握りしめていた。

…。

「島谷さん…島谷ひとみさん」
「…ん……⁈」

いつの間にか朝になっていて、私を起こす人物が1人。

夢から現実に一気に引き戻されて気分だった。

「…金崎社長」
私は慌てて立ち上がろうとした…が。
金崎社長はそれを止めた。

「座ったまま…今回は、君に怖い思いをさせて、本当に申し訳なかった」
そう言って、深々と頭を下げた金崎社長。

「そんな!頭を上げて下さい!私は何もなかったんですから…それより、金崎部長がこんなことになって…」

「…これは全て、私の蒔いた種だ…。息子をこんな目に遭わせ、君に怖い思いをさせて…こうさせた優姫の気持ちをふみにじった」

「…金崎社長」
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