不機嫌な君
「…これ以上、君を危険な目に遭わせたくない。今回の事でそれがよくわかったと思う…だから、尚更、右近とは、別れるべきだと思う…今後もっと危ない目に」

「…」
黙り込んだ私の手を誰かが握りしめた。私はハッとして、振り返る。

「…まだ言ってんのか、バカ親父」
「右近」「金崎部長」

寝起きに毒を吐ける金崎部長に驚く私。

毎度の事に、溜息をつく金崎社長。

「俺は、ひとみと別れるつもりなんてこれっぽっちもない」

「…だが、島谷さんがこうやって危険な目に遭うんだぞ⁈」
静かにそう言った金崎社長。

「今回は、全くの不意を突かれた事故だった。でも、次からは、必ずひとみを守る」

「…右近が、社長になれば、もっと大変だぞ」

「言いましたよね?ひとみと別れなければならないなら、後は継がないと」

「わかってる。右近が継いでくれるなら、島谷さんとの交際も、結婚も認めよう」
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