不機嫌な君
…結局、根負けしたのは金崎部長。
圭介さんは、金崎部長を強引に隣に座らせた。

…なんだか、会社の飲み会みたいになってるよ。これでは、ストレス解消どころか、ストレス溜まる。

こうなったら、美味しいご飯を食べる事に徹しよう。そう自分に言い聞かせた。

…葉月さんと、圭介さんは、なんだかんだ言っても、おつまみをよそい、楽しそうに食べながら会話。…いいな。

…ふと、金崎部長が視界に入る。
さっきから、お酒を飲むだけで、おつまみには、一切手をつけていない。

食べながら飲むから美味しさが倍増するのに。…見兼ねた私はおつまみを小皿によそい、差し出した。

「…ぇ」
驚きの眼差しで私を見る金崎部長。

「お酒ばかり飲んでないで、おつまみもどうぞ。ここのは、絶品ですから…ん!」
強引に差し出した小皿を、金崎部長は渋々受け取ると、それを口にした。

「…確かに美味いな」
その言葉に満面の笑顔になる私。
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