不機嫌な君
私は相変わらず外に視線を向けたまま続けた。
「会って間もない上に、直属の上司に対して、失礼な態度しか取ってないから」

「…と言うよりは、俺がこの会社の御曹司だからか？」

「…それも、あります」

其の後直ぐ、溜息が聞こえた。
…やっぱり、クビ決定。
私も溜息をついた。

「お前って、やっぱりバカだな」
「なっ⁈」
思わず金崎部長の方を見た。

「最初の挨拶で言った筈だ。
俺はみんなと同じ、総務部の社員だと。
言いたいことは、気負いせず、なんでも言えって」

「…言いましたけど」
上目遣いで金崎部長を見る。

「島谷は、それをそのまま実行したに過ぎない。クビになる必要がどこにある？」
「…」

「お前はお前のままでいい。変わらなければいけないのは、他の社員だ。言いたいことは言う。上下関係なんて糞食らえだ」

その言葉に目を丸くする。
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