不機嫌な君
人事部長の悲鳴にやっと我に返った私は一歩後退した。
…すると、誰かにぶつかったのが分かった。
上を見上げると、超不機嫌な顔の金崎部長がいて、片手は人事部長の手を捻り上げ、片手は書類も持ち、尚且つ私をホールドしている。
振り返った人事部長の顔はみるみる青くなる。
「渡し忘れた書類があって持って来たんですが・・・
うちの部下に一体何をされるおつもりでしたか、人事部長?」
・・・その声は低く、それでいてドスの利いてる声。
誰が聞いても分かるほど、本気で怒っている声だった。
「・・・いや、これは、その・・・」
人事部長はシドロモドロで、弁解を始めようとした…が。
「私は、セクハラをする男が一番嫌いです。・・・今後の処分を待たれた方がいい」
「金崎君!」
「…行くぞ、島谷」
その言葉に小さく頷き、金崎部長の後ろをついて行く。
…人事部長がうな垂れたのが見えたが、自業自得だと見て見ぬフリをした。
廊下の角を曲がった途端、金崎部長が足を止めた。
「あれだけ俺に好き勝手言ってるお前が、あの場で何で反論・・・おい?」
説教しようと振り返った金崎部長は目を見開いた。
…あの場から何事もなく逃げられた安堵感から、一気に力抜け、その場に座り込み、あろうことかすすり泣いていた。
そんな私を戸惑いながらも立ち上がらせ、心配そうな顔で金崎部長は問いかけた。
「なんか酷い事されたのか?」
その言葉に首を振る。
「なんか言われたのか?」
またしても首を振る。
結局泣いてる理由が分からない金崎部長が取った行動は・・・
私をただただ驚かせるものだった。
「・・・金崎、部長。・・・何、して?」
「お前が泣いてるから…どうしていいかわからなくて」
そう言いながら、私を抱きしめる腕に力を込める。
…すると、誰かにぶつかったのが分かった。
上を見上げると、超不機嫌な顔の金崎部長がいて、片手は人事部長の手を捻り上げ、片手は書類も持ち、尚且つ私をホールドしている。
振り返った人事部長の顔はみるみる青くなる。
「渡し忘れた書類があって持って来たんですが・・・
うちの部下に一体何をされるおつもりでしたか、人事部長?」
・・・その声は低く、それでいてドスの利いてる声。
誰が聞いても分かるほど、本気で怒っている声だった。
「・・・いや、これは、その・・・」
人事部長はシドロモドロで、弁解を始めようとした…が。
「私は、セクハラをする男が一番嫌いです。・・・今後の処分を待たれた方がいい」
「金崎君!」
「…行くぞ、島谷」
その言葉に小さく頷き、金崎部長の後ろをついて行く。
…人事部長がうな垂れたのが見えたが、自業自得だと見て見ぬフリをした。
廊下の角を曲がった途端、金崎部長が足を止めた。
「あれだけ俺に好き勝手言ってるお前が、あの場で何で反論・・・おい?」
説教しようと振り返った金崎部長は目を見開いた。
…あの場から何事もなく逃げられた安堵感から、一気に力抜け、その場に座り込み、あろうことかすすり泣いていた。
そんな私を戸惑いながらも立ち上がらせ、心配そうな顔で金崎部長は問いかけた。
「なんか酷い事されたのか?」
その言葉に首を振る。
「なんか言われたのか?」
またしても首を振る。
結局泣いてる理由が分からない金崎部長が取った行動は・・・
私をただただ驚かせるものだった。
「・・・金崎、部長。・・・何、して?」
「お前が泣いてるから…どうしていいかわからなくて」
そう言いながら、私を抱きしめる腕に力を込める。