不機嫌な君
恋がしたい、恋がしたい、恋がしたい！！！
もう、何度この言葉を唱えた事だろう。

なかなか紹介してくれない葉月さん。
葉月さん曰く、
『圭ちゃんの友達は既婚者ばっかりだし、部下にもそれらしい人にあたってみたけど、みんな彼女持ちなのよ。。だから、もう少し待って…ね？』

と、言う事らしい。

入って間もない頃は、それなりに声もかけられてたけど、その時はそれどころじゃなかった。
仕事を覚えるのに精一杯で。

今になって恋人を作ろうとすれば、相手が誰もいない。
人生そう上手くは行かないって事。

…まだまだ自分は若い、そう断言できる歳。
だから、焦る必要はないんだけど・・・でも。

恋人でも作らないと、変な妄想が私の頭を支配してしまう。

「はぁぁぁぁぁ・・・」
盛大な溜息をつき、また、仕事を始めた。

「…ひとみちゃん」
「…なんですか？葉月さん」

元気のない声で返事をする私。

「…いい人見つかったわよ」
「…へ？…今、なんて？」

気が抜けている私は、葉月さんの言葉を理解するのに時間がかかった。

「だ～か～ら～！良い人見つけたって言ったのよ」
そう言ってニッコリ微笑む葉月さん。

やっとその言葉の意味を理解した私は満面の笑みを見せた。
「本当ですか？！」
「えぇ、本当。その人、今夜が一番都合が良いそうだから、仕事が終わったら会ってみる？」

葉月さんの言葉に、何度も頷いて見せる。
それを見た葉月さんはクスクスと笑っている。

「…でも、その人って、どんな人なんですか？」
見ず知らずの人に会うわけだから、それなりのリサーチは必要だと思う。
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