不機嫌な君
…その日の午後から、私は必要以上に金崎部長を避けまくった。

頼まれた仕事も、他の仕事があると断り、呼ばれても知らん顔するか、手が離せないと言って断るか。

だから、反論する事なんて、全くなくなり、オフィスの中が、お葬式の様に、暗く、静かになった。

「…そんな、露骨に避けなくても」
そう言って溜息をつく葉月さん。

「…気のせいですよ」
そう言いながら、パソコンに集中する私。

「…どこが?…みんな言ってるわよ、2人が言い合いしてないと、返って落ち着かないって」

「そんな、私がうるさいみたいな」
「うるさいわよ」
「…」

不貞腐れた顔で、葉月さんを見る。

「…そんなに避けてないで、聞けばいいじゃない。聞いて、スッキリしなさいよ。ウジウジしてるひとみちゃん、ひとみちゃんじゃないわよ」

「…そんな、簡単に言わないでくださいよ。…そんな事言えるわけないじゃないですか。私の事、好きなんですか?なんて、自意識過剰な事」

そう言って溜息をついた。
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