不機嫌な君
「…すみません…お待たせしてしまっ…て」
少し息を切らせながら、悠斗さんに言う。

悠斗さんは優しく微笑み、首をふった。

「…いいよ。…強引に言って切ったから、来てくれないと思ってた」
「…」

「…とりあえず、そこに座ってコーヒーでも飲む?息切らせてるし」
「…はい、そうします」

気まずい空気の中、コーヒーが運ばれて来て、私はとりあえずそれを口にした。

「…どこか行きたい所は?」
「…いえ、行きたい所はないんですけど」

「…じゃあ、俺がエスコートしてもいい?」
「いえ!あの…私、言いたい事が、というか、言わなきゃいけないことがあるんです」

「…ダメ」
「…え」
突然の言葉に目を見開く。悠斗さんは、終始笑顔を絶やさない。

「1日くらい付き合ってよ…一緒に買い物したり、映画見たりするだけだから。
別に、ひとみちゃんを取って食おうって訳じゃないから」

…ひとみちゃん…取って食う⁈…
いやいや、そんな事はしないって言うなら。

…丸め込まれて、一緒に過ごす事になってしまった。
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