不機嫌な君
「…総務部に何度か顔を出したことがあるんだけど。…金崎部長と言い合いしてるひとみちゃんが1番自然体に見えたんだ」

「…」

「金崎さんがひとみちゃんをどう思うのかなんて分からないけど、ひとみちゃんは、金崎さんの事、好きなんだろうなって見てて思った」

「…あれが、ですか？」
私の言葉に、悠斗さんは困ったように笑う。

「まだ、自分の気持ちに気づいてないんだね」
「…金崎部長は、私の上司です」

上司と言う以外、考えたことはなかった。

「…それならまだ、俺にも望みはあるかな」
「…え」

驚く私の手を取って、握りしめた。
私はその手を離そうとする。…でも、悠斗さんは離してくれない。

「…俺、ひとみちゃんが好きなんだ。まだ会って2回目だけど、本当はもっとずっと前から、君のこと知ってた。でも、なかなか接点が無くて…今回の話しが来た時、マジで嬉しかった。もしかしたら、ひとみちゃんが俺の彼女になってくれるかもって…」

「…私は…キャッ⁈」

突然誰かが私を引っ張った。
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