不機嫌な君
2.不機嫌な君、怒る
…眠れなかった。眠れるはずがない。目が冴えて、ぼんやりテレビを眺めていたら、朝が来た。

「…会社行かなきゃ」
事務的に用事をこなしていく。

身支度を整え、コーヒーを飲み、トーストを食べた。
朝から食欲旺盛で、何でも美味しく食べる私が、何の感動もなく、ただ黙々と朝食を平らげた。

…電車に揺られ会社に向かう。会社のロビーを通り過ぎ、エレベーターに乗り総務部のオフィスに入った。

「おはよう、島谷さん」
「…ぁ、ども」
事務的に挨拶をした。でも、挨拶された方は、素っ気ない態度にキョトンとする。

「…おはよ〜、ひとみちゃん」
「おはよーございます…」
「…」
素っ気ない挨拶に、葉月さんは私がおかしいと思ったのか、目の前で、手をパタパタ振ってみた。

…でも、私は全く反応しない。

「…どうしちゃったの?なんか変なものでも食べた?それとも、どっかで頭打ったの?」

「…そうかもしれませんね」
と、無表情に返した。
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