不機嫌な君

「…ほら」
「…へ？…ぁ…ありがとうございます」
適当に小皿によそった料理を私に差し出した金崎部長。

私はそれを受け取ると、小さい口でそれを食べた。

「…お前らしくない。何を緊張してる？いつもみたいにでかい口で食べろ」

その言葉に、意を決して、大きな口で食べた。

「…ん〜…美味しい〜」
…やはり遠慮はよくない。いつもみたいに頬張って食べた方が何倍も美味しい。

「美味しい物は、美味しく頂くって言ったのはお前だろ」
そう言いながら、食べている金崎部長。
…確かにそれを言ったのは私だ。

「…そうですね…でも」
「…なんだ？」

「その仏頂面、どうにかなりませんか？」
「…」

「不味そうにみえますから」
その言葉に、金崎部長は、困ったように笑った。

そうそう、笑うと金崎部長は、更にイケメンになる。…この笑顔を見たことがあるのは私だけ、かな？

…そうだといいな。