不機嫌な君
お互いコーヒーを頼み、そのまま沈黙。黙っていてはダメだと思い、口を開いた。

「大西さん」
「…もう、悠斗さんとは、呼べないよな」

「…すみません」
「いや、ごめん、ちょっと思っただけだから、気にしないで」

「…えっと、あの日、一応私の気持ちを言ったんですが、大西さんは、納得してくださいましたか?」

「…オレも、自分の気持ちは言ったよね」
「…はい、ですが、あの、その、気づいてしまっ…」
「…ん?」

「…金崎部長への気持ちに」
その言葉に目を見開いて、悠斗さんは口ごもる。

「ちょっとした弾みといいますか、私の気持ちを、金崎部長も知ってまして」

「…金崎さんは、なんて?」
「…何も」
言ってはくれない。

「…言ってくれない?…じゃあ、金崎さんは、ひとみちゃんの事何とも思ってないってことじゃないの?」

「…」
その言葉には、何も言い返せない。
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