不機嫌な君
「…神坂さん。…金崎部長の居場所、知ってますよ」

…その言葉に泣きながら私の顔を見た優姫。

「…でも、今は教えられません」
「…どう言うこと?」

「…2、3日待ってください。…そしたらまた、会社に出社すると思いますので」
「…意味がわからないわ」

「…なにも聞かずに、待ってください。…お願いします」
そう言って、深々と頭を下げた。

…しばらく考えていた優姫だったが、いつまでも頭を上げない私に根負けしたようで、涙を拭い、溜息をついた。

「…わかったわよ。…事情があるみたいだし…今日は素直に帰るわ…でも!」
「…⁈」

「諦めたわけじゃないから!」
「…」

そう言って、キッと私を睨むと、ヒールをカツカツ言わせながら、優姫は帰って行った。

私は盛大な溜息をついた。
…でも、金崎部長を諦めたわけじゃないと言う言葉が、いつまでも、頭の中でリフレインしていた。
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