不機嫌な君
「な、泣いてませんよ」
そう言って、金崎部長から離れようとした。…が、金崎部長は私を抱き寄せた。

…まだ、熱は下がっていない。抱き締めた腕が…体が熱かった。

「…何があった?」
「…何もありませんよ。…それより、病院に行きましょう?まだ、高熱じゃないですか⁈下にタクシーを待たせてるので」

「…教えるまで動かない」
「な…子供みたいにダダこねないで下さい…お願いですから、言うこと聞いて下さい」

懇願する私を見て、金崎部長は溜息をついた。

…病院に行き、点滴を済ませ、薬を処方してもらい、金崎部長のマンションに…行ってくれない。

これは困った。

「…どうするんですか、また私の家に舞い戻って?こんな所にいたら、治るものも治らないじゃないですか」

「…泣いた理由をまだ聞いてない」
「…」
金崎部長の言葉に、困惑する。
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