幼馴染みってズルいよね【BL/mw】
「ヒサギちゃんに彼女が出来たって分かる度に結構ダメージ大きいんだよ。それに、いつかはこの気持ちにもケリを付けなきゃって思ってるから……」
「辛いなら早めに心を決めるべきよ」
シズルにピシャリと言われると、返事に困る。
それは、想いを比べる事なんて出来ないけれど、きっと自分の片想いよりずっと重い恋愛をシズルは経験しているはずだ、とハルキが勝手に考えている所為だ。
今まで何度となくシズルもアルゼフもハルキに告白を促している。
けれど、それは大抵会話の流れの中でのツッコミみたいなものであったりして、本気でそうする事を促しているつもりはない。
二人とも他力本願な人間は好きではないし、ハルキが告白しないでいる理由も、何と無く察しがついているからだ。
ハルキが中々告白出来ないのは、今の距離感を失いたくないからだ。
振られて玉砕する事は怖くない。
罵倒される覚悟だって一応出来ている。
けれどその結果として8年掛けて築き上げたモノを失うのは余りにも辛過ぎる。
友達でいる期間が長過ぎたと思う事もあったが、他人に対して余り心を開かないヒサギと普通にコミュニケーションを取る事の方が重要だったのだ。
ヒサギと出会った当初は、彼に煙たがられる事の方が多かった。
少しでもヒサギの機嫌が悪ければ無視される事なんて日常茶飯事。
話し掛けただけでキレられて胸倉を掴まれる事さえあった。
そんな状態で告白出来る筈もなく、友達として普通に付き合える様に努力してしまった結果、親友にまで格上げされたがそこから先に進めなくなってしまった。