代行物語

体験入店

元来、好奇心旺盛な性格の佳夫にとって、タモツの話しはとてつもなく変化に飛び、実に平凡なサラリーマン生活とは対照的なものだった。
そんな話しの中で、タモツに運転手が足りないことを告げられ、今探している真っ最中だということを知ることとなるのだった。
佳夫は俺でも出来るだろうか？と考えていた、そんな佳夫の心を見透かしたように、タモツは結構サラリーマンの人もバイト感覚でやっているよ！などと言うものだから、次の瞬間、佳夫の口から
「俺、手伝いましょうか？」
などと思わず口走ってしまったのだった。
待っていましたとばかりにタモツは
「やってみる？とりあえず今度の週末にでも、体験入店してみたら。」

そんなタモツの言葉に後押しされ、とりあえず体験入店ということで、週末手伝いに行くことにしてみた。手続きは意外に簡単で、保険に入るために必要な諸々の個人情報、警察署に届ける為に必要な身分証明書等しかし、ヤの付く職業の方と交流が無いと言う点は非常に重要なポイントらしい！今週はちょっと刺激的な週末になりそうだと佳夫は期待半分未知の職業への不安が半分といった心境で、タモツと別れた。
別れ際、タモツの満面の笑みに込められた強い期待を佳夫は知る由も無かった。

佳夫は典型的な宵っ張りの朝寝坊タイプの人間で、通常でも夜中の２時頃就寝という生活スタイルだったので、ただ家でゴロゴロしている時間で少しでも収入が得られるならこんな良い事は無い、もしかしたら俺にとっては天職かも？などと安易な気持ちで週末を迎えるのであった。
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表紙・目次

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