インナーチルドレン(かわいい金魚番外編)
「……え?」



「やりたくないならさ、無理しなくても、いいんじゃないの」



絵を受け取って、女性は、驚いたように首を傾げている。



そうして、絵を見る。

軽く、息を飲んだ。

「これ、私の、小さい頃?」



純の目に映る子供たちは、みんな、その持ち主(?)の記憶に残る服装をしているらしい。



インナーチャイルド、か。



子供が見えるようになった、最初の頃。



自分は頭がおかしくなってしまったに違いない。



そう思って、散々悩んだあげく、純が今の同居人に相談したとき、彼は事も無げにそう言った。



なんだよ、それ。



心の中のこども。

満たされない思い、トラウマ、そんな無意識下に押さえ込まれた苦痛が、子供の姿をして、心のなかにいるんだ。

聞いたことないか?イメージトレーニングで、森の奥で子供に会うとか。



知らねぇよ、そんなの。そいつは、目に見えていいもんなのかよ。センセエ。






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