インナーチルドレン(かわいい金魚番外編)
純は、傍らで純を見上げている男の子を、見下ろした。

頭をなでてやると、男の子は、声をあげて、笑う。

純を癒してくれる、笑顔。


おまえは、俺自身なのにな。

けどきっと、俺は、俺自身より、おまえのほうが大切みたいだ。


だから。

おまえが笑顔になれるように、俺も、頑張らなくちゃな。


「あの……」

女性が、純に声をかける。

「ああ」

「この絵、売ってもらって、いいですか?」

「あ、いいよ。それは、あんたにやる」


言った純に。

女性は、首を横に振った。

自信を取り戻した笑顔を、純は、きれいだと、思う。
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