【完】GAME OVER



涙を拭いて顔を上げると、



パパが一度だけぎゅっと抱きしめてくれた。



「また明日な。おやすみ」



たぶん、言いたいこととか聞きたいこと、たくさんあったんだと思う。



それでも、パパは何も聞かずにママの元へ戻っていった。



……愛されてるなぁって、思う。



うぬぼれなんかじゃなくて、わたしはママにもパパにもたくさん愛してもらえてる。




「……宮、おそいからさみしかった」



「ごめんな。千夜が泣いてたから」



「……千夜の方が、大切?」



「そういう問題じゃねぇだろ」



「………」



「んな顔すんなよ。

……ほら、おいで。寝るんだろ?」



「…っ、宮」



自分の気持ちがはっきりしたら、なんだかすっきりしてきて。私は、小さく息を吐いた。



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