【完】GAME OVER
ぎゅ、と、シーツを握る。
綺麗に伸ばしていたそれは、しわくちゃになった。
だけど、それ以上に自分の心の中がしわくちゃで、ぐちゃぐちゃで。
わけもわからず泣きたくなる。
「識音」
「っ、」
そっと、後ろから包み込まれた。
いつもと変わらない温もりに、自然と涙がこみ上げてくる。
「識音が俺のことどれだけ思ってくれてるのか、俺が一番理解してる」
「み、や」
「でもな、俺と識音が大切に育ててきた千夜と比べられない。どっちも大切だから、お前のことばっかり構ってやることも出来ない」
なんで、そんなに優しいの。
私がめんどくさいこと言ったのに。
怒られてもおかしくないようなこと言ったのに。
どうして、呆れずにそうやって私の欲しい言葉をくれるの。