【完】GAME OVER
ちら、と一騎が俺に視線を向けた。
一薫は今日も、妖しい色気をまといつつ、俺らを眺めてるだけで。
「千夜ちゃんのこと、好きでしょ?」
ヒナは、ハラハラしたように俺らを見ていた。
「……はぁ。
まぁ、アイツいねーから別にそれでもいいけどな」
「ミヤがいないから、認めたんでしょ?」
俺らが、CHESSの一員である限り。
ミヤには、何があっても逆らえない。
「……ヒナ」
「なにぃ」
「お前、前にアイツとあだ名の話してたよな」
「ちーちゃんとぉー?してたねぇ」
「あの時、千夜が言ってたことおぼえてるか」
「そんなの覚えてないよぅ」なんて、言いつつ。
「ああ、もしかして。
〝あの〟男の子って、いっくんのことか」
確信めいた言い方で、ヒナはそう言った。