【完】GAME OVER



あの時のミヤの気持ちは俺にはわからないし、理解できないし、したくもない。



俺が、ミヤを傷つけてしまったから。



俺が、ミヤを穢してしまったから。



「湊人」



それでも、変わらない声色でそう呼んでくれたミヤを、俺は本気で尊敬してる。



ミヤだけは何があっても裏切れない。




恋愛感情なんかじゃない。



そんな脆いものじゃなくて、ただただひとりの人間としてミヤのことは大好きだし、何よりも。



『湊人っ、ごめんなさい……許してっ』



『……笑わせんなよ』



『湊人のこと、これ以上傷つけんな。

──俺らの前に二度とそのツラ見せんなよ』



あのときの弱くて儚くて情けない俺の姿なんて、もうどこにも残ってないけど、あの女の声が耳に届いたとき、俺を襲ったのはミヤを傷つけたことへの罪悪感だけだった。



でもたぶん、あの女なんてどうでもよくて。



「──その女、さっきの男に返しといて」



冷たく言い放った俺は、きっと悪魔だ。



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