【完】GAME OVER
雅にそう言われたら、それ以上反対する理由もなくて。ふたりで彼の家へと向かった。
「ん、入れよ」
「……お邪魔します」
小さくつぶやいて、上がらせてもらう。雅がリビングの扉をガチャ、と開けて。
「……あ」
「………」
パタン、とそのまま閉ざした。だけど、思わず目撃してしまった汐乃さんと旦那さんのキスシーンに、顔がじわりと赤く染まっていく。
「悪い。俺の親、いまだにいつもあんな感じなんだよ」
「う、ううん。私のところもそうだから大丈夫だよ」
「親父が家にいること忘れてた」
今日は昼から仕事って言ってたもんな、なんてつぶやく雅が、もう一度扉を開けて。
「千夜ちゃん、いらっしゃい」
顔を出した汐乃さんがそう言って微笑んでくれた。──のだけれど、どうもさっきの光景があたまから離れなかったりする。
「こんにちは、汐乃さん」