【完】GAME OVER



雅にそう言われたら、それ以上反対する理由もなくて。ふたりで彼の家へと向かった。



「ん、入れよ」



「……お邪魔します」



小さくつぶやいて、上がらせてもらう。雅がリビングの扉をガチャ、と開けて。



「……あ」



「………」



パタン、とそのまま閉ざした。だけど、思わず目撃してしまった汐乃さんと旦那さんのキスシーンに、顔がじわりと赤く染まっていく。




「悪い。俺の親、いまだにいつもあんな感じなんだよ」



「う、ううん。私のところもそうだから大丈夫だよ」



「親父が家にいること忘れてた」



今日は昼から仕事って言ってたもんな、なんてつぶやく雅が、もう一度扉を開けて。



「千夜ちゃん、いらっしゃい」



顔を出した汐乃さんがそう言って微笑んでくれた。──のだけれど、どうもさっきの光景があたまから離れなかったりする。



「こんにちは、汐乃さん」



< 188 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop