【完】GAME OVER
「ふふふ。変なところお見せしちゃってごめんなさい」
「だ、大丈夫です。
私の親も一緒にいるとそんな感じなので、」
「あら、そうなの?
あ、仕事に行くまでの間、麗が引っ付いてくるかもしれないけど、見逃してね」
「……客がいる時ぐらい遠慮しろよ」
「あら?だって、千夜ちゃんはもう家族みたいなものじゃない。
……って、こら、麗。午前中散々甘やかしてあげたじゃないの」
汐乃さんの髪に触れた旦那さんを制す彼女。
旦那さんは小さくため息をついたあと私に視線を向けて、「初めまして」と微笑んでくれた。
前回お邪魔した時、旦那さんはいなかったし。
私も「初めまして」と返して名前を口にすると、雅のお父さんこと麗さんは、前の汐乃さんと同じように良い名前だってほめてくれて。
「前回来てくれたときはまだ彼女じゃなかったのよね。
でも、千夜ちゃんが雅と一緒にいることを選んでくれてとっても嬉しいわ」
ご飯用意するわね、と汐乃さんがキッチンに立つ。
「千夜」
「うん、なに?」
「部屋行くぞ」