【完】GAME OVER
かああっと、顔を赤くする私。
そして余裕げに口角を上げた雅は、きょとんと首をかしげる。
「緊張、ほぐれたか?」
「あ、うん……ちょっとほぐれた。
じゃなくて……!どうして雅はこうやって人前でも関係なくキスしてくるの!?いい加減私はずかしいよ!!」
「言っただろ、キス魔だって」
「言ったけど!」
それとこれとは別だよ!
この間なんて、私の家に来た時、ママがいるのにキスされてどれだけ恥ずかしかったか(パパはお仕事だったから知らない)。
嬉しいか聞かれたら嬉しいけど、それでももうすこし場所は考えてください。
「なんだかんだお前も好きなくせに」
「はいはい、イチャイチャしたいのはわかったから。
千夜ちゃん、総会は遅くまでやるから、基本俺らは付いてるけど、もしひとりになった時に何かあったら絶対言って」
「う、うん……」
──そう。今日は、CHESS連合の姫として、私をお披露目する総会が開かれる。
だから、さっきから途方もなく緊張しているわけで。
ただのお披露目ならまだしも、いままで彼女をつくらなかった雅の彼女としても紹介されるわけだから、想像するだけで女の人からの視線がこわい。
レディースさんも来るって聞いたし……いい顔をされないのは、嫌でもわかる。
雅は、何かない限りはそばにいればいい、って言ってくれたけど。
こんなイケメンと一緒にいれば、たとえ私が彼女じゃなくとも、視線を集める。人前に立つことに慣れない私が、精神的に耐えられるとも思わない。