【完】GAME OVER
「う、ううん。
なんでもないよ」
「……そうか」
美織さんを無理やり引きはがした雅は、私の頭をぽんぽんと撫でた。そして、ちらりと彼女に視線を向ける。
「美織」
「なにっ?」
「……んな期待した顔すんなよ。
さっき、此依(このえ)さんから連絡あった」
「……また此依」
むすっとした顔になって、美織さんがソファに放り投げられていた赤いバッグをつかむ。
「いいわよ。
ミヤは彼女とイチャイチャしてれば?」
「あ……」
吐き捨てるように冷たく言って、美織さんは出ていってしまう。
追いかけなくていいの?と、雅を見上げれば。
「いつものことだ」
そう言って彼は、私をソファに促した。