【完】GAME OVER
──あまりにも、必死だったから。
どこかに逃れたくて、必死だったから。
「あぶない……っ!!」
気づけなかった。
隣から、トラックが迫ってきているということに。
赤信号が、光っていたということに。
ああでも、もういいかな、なんて。
考えたときだった。
──グイッ
「お前、死にてぇのか」
強く、腕を引かれた。
近くからかけられた、低くて鋭い声。
背筋が凍るかと思うほど、冷たい声に顔を上げて。
「っ、」
その人物に、息を呑んだ。