【完】GAME OVER



不思議に思うけれど、痛くない程度に、でも思ったより強く腕を握られていて、ふり払えない。



もう、関わるつもりはないのに。



「斗真、」



そのまま、連れていかれたのは、梓真にフラれたあの屋上で。



どうしようもなく、泣きたくなる。



でも泣かない。




「千夜、」



こんなのただの思い込みだけど、雅は私のことを裏切ったりしないから。



彼の前でしか泣かない、と思っていれば。



背中に冷たいコンクリート。



その正体は言わずもがな校舎の壁。



そして、顔の両横に斗真の手。



思ったより至近距離で、小さく息を呑む。



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