【完】GAME OVER
別に、その手を取るつもりはなかった。
ただ。
「CHESSの情報管理に任せておけば、1ヶ月も掛からねぇうちに、流したヤツぐらい突き止められる。
もしお前が正しいことを言ってんなら、アイツらが悪い。お前は姫に戻れるし、それを受け入れようとしねぇんなら、碧をCHESSから外すこともできる」
彼のその言葉に、安心したから。
私が何もやってない限り、また彼らの元へ戻れるとわかったから。
「すみません。ありがとうございます」
「まだ完璧に信じたわけじゃねぇが、
今んとこ、お前は被害者だからな」
行くぞ、と。
手を差し伸べた彼の瞳は、優しくて。
案外、優しい人なのかもしれないと。
彼の手に自分の手を重ねながら、そう思った。