【完】GAME OVER



別に、その手を取るつもりはなかった。



ただ。



「CHESSの情報管理に任せておけば、1ヶ月も掛からねぇうちに、流したヤツぐらい突き止められる。

もしお前が正しいことを言ってんなら、アイツらが悪い。お前は姫に戻れるし、それを受け入れようとしねぇんなら、碧をCHESSから外すこともできる」



彼のその言葉に、安心したから。



私が何もやってない限り、また彼らの元へ戻れるとわかったから。




「すみません。ありがとうございます」



「まだ完璧に信じたわけじゃねぇが、

今んとこ、お前は被害者だからな」



行くぞ、と。



手を差し伸べた彼の瞳は、優しくて。



案外、優しい人なのかもしれないと。



彼の手に自分の手を重ねながら、そう思った。



< 8 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop