【完】GAME OVER
ママはそんな私を見て、「仕方ないことよ」と、優しく言ってくれる。
「人の感情を引き止めておくなんて、無理なのよ。
ただ、千夜ちゃんにひとつだけ」
ママが、微かに屈んで、すこし低めの身長の私と目線を合わせる。
「否定しちゃだめよ」
「、」
「自分の、誰かに対する恋心を否定しちゃだめ。
つらくなるだけだから、ね?」
こく、と、頷く。
「隠すのと否定するのは違うわ」
ふわりと微笑んだママの言葉を、納得したときだった。
──ピーンポーン
そんな音が、家の中に響いた。
早くも着替えを終えたらしいパパが部屋から出てきて、「識音」とママに声をかける。
「夜遅いし、とりあえず俺が出る」