ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
ぴしゃりと冷たく言い放ってやったのに、男はまだ私から視線を外さない。




「………ちょっと、あんた、いつまで見てんのよ。

いくら私がきれいだからって、そんなに凝視したら失礼ってもんでしょ」




険しい表情で睨み返すと、男は。




「いやぁ、ほんっとにきれいですよねぇ………心が洗われるなぁ。

涙も乾いてしまいましたよ」




と臆面も屈託もなく言ってきた。



私がかなりの美人だというのは自覚しているけど。


初対面で、ここまであっけらかんと手放しで褒める人間は珍しい。



なんだか調子が狂ってしまって、でもそのことがたいそう気に入らなくて、私はぷいっと顔を背けた。




「………彼女と別れた直後に、他の女のこと褒めるなんて、さすがにちょっと無神経じゃない?

そりゃ、私に見惚れちゃう気持ちは分かるけどね」





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