ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
顔を洗って、うがいをして、

化粧水と乳液で肌を整え、とりあえずベースメイクだけを済ませると、


キッチンに向かう。



広々としたリビングを一望できる、対面式のキッチン。


シンクも調理台も広くて、ガスと電気の両方を備えたレンジも使い勝手がよく、申し分ない。



冷蔵庫を開けて朝食の材料を取り出してから、私はゆっくりと部屋を見渡した。




ここは、一年前から住んでいる私の城、1LDKのマンションの一室だ。



家賃は10万をゆうに超えている。


20代の女の暮らす部屋としては、なかなか贅沢だ。



そして、自分の好きな高級家具メーカーの商品を惜しげなく並べた、シックなインテリア。


黒と白とダークブラウンで統一されたリビングを見ていると、思わず口許が緩んでしまう。




私は、この部屋にいる自分が好きだ。


まさに、できる女の気ままな一人暮らし、って感じがして。



寝に帰るだけの部屋だけど。

その部屋が、自分の理想を体現した心地よい部屋だということは、生活の潤いになる。



この部屋の家賃を払い続けるためにも、仕事を頑張らなきゃ、って思える。




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