ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「………すみません。言い過ぎました」




すぐに謝罪をすると、朝比奈先生は気にしたふうもなく、




『別にいいよ、本当のことだしね』




と軽く笑った。




『じゃあ、仕事をしない暇人作家のボクは、今夜は大人しく引き下がるとするかな』



「………根に持ってるじゃないですか」



『あはは、そんなことないって』




よく分からない。


こんな人、会ったことがない。




「あの、今夜はご一緒できないので、よろしければ明日はいかがでしょうか?」




いちおう代替案を出してみると、先生が嬉しそうに息を洩らしたのが分かった。




『もちろんいいよ。

いやぁ、智恵子から誘ってくれるなんて、光栄だなぁ。

何か食べたいものとかある?』




そこで、私は頭をフル回転させて計算を始める。



何を食べたいと答えるのが、最も好印象だろうか?




< 128 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop