ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
私のキャラクターを考えれば、もちろん、フレンチや料亭、あるいは高級中華。



でも、それじゃあ普通すぎて、意外性がない。


意外性がないと、印象には残らない。



それでは、恋のゲームに勝てない。



恋のゲームに勝つ必須条件は、相手にインパクトを与えるギャップを見せること。




「………あの、もし、先生がお嫌でなければ、なんですけど……」




私は控え目な口調で提案する。




「先生のお誘いをお断りしてしまったお詫びに、私が夕食をお作りするというのは如何でしょうか?」



『えっ?』




先生が素っ頓狂な声を上げた。


ふふん、と笑みが洩れそうになる。




『それって、手料理つくってくれるってこと?』



「はい、一応………お口に合うかは分かりませんが」



『智恵子、料理できるんだ?』



「ええ、大したものは作れませんけど」



『へえ………』




< 129 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop