ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
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今夜はまったく素晴らしい夜だった。
何気なく入ったバーで、滅多にお目にかかれないほど美しい女性に出会ったのだ。
彼女に気がついたのは、ちょうど恋人のミナちゃんとの別れ話の最中。
突然別れたいと言われて、可愛らしいミナちゃんのことが大好きだった俺は、心から悲しかった。
それで、泣きじゃくりながら駄々をこねている隣に、彼女が座っていたのだ。
奇しくも、彼女も別れ話をしていた。
彼女は、俺と同じように「別れたくない」と追いすがる男を、心底軽蔑したような冷たい目で見ていた。
でも、その顔は、驚くほどに汚れなく、高潔で凛として美しかった。
俺は思わず、耳ではミナちゃんの話を聞きつつ、彼女のほうをちらちら見てしまった。
それくらいきれいだったのだ。