ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
作戦成功、と内心でほくそ笑む。



私のような浮世離れした女が料理をすると言うと、たいていの男は驚いて、そしてそのギャップに衝撃を受けるもの。



意外と家庭的なんだね、なんて言って目の色を変えた男は数え切れない。




「では、明日、材料を買って先生のお宅に伺ってもよろしいですか?」



『もちろん!』



「苦手な食べ物などあれば伺っておきたいのですが」



『智恵子が作ってくれるなら、なんでも食べるよ』



「そうですか、良かったです」



『いやぁ、楽しみだなぁ』




朝比奈先生は浮き浮きした様子で電話を切った。




ーーーほんと、男って単純。



胃袋をつかむって言葉があるけど、あれ、当たってるわよね。



たかが料理くらいで女に好意を抱くなんて、どれだけ貧相な思考回路なのかしら。



でもまぁ、そのおかげで、私はたくさんの男たちを落とすのに成功してきたわけだけど。




さて、どんな料理を作って朝比奈光太を落としてやろうかしら?



私は頭の中で考えを巡らせながら仕事苦手な戻った。




< 130 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop