ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「まだ飲み足りない気分だなぁ。

香月くん、もう一軒付き合ってくれないかね?」



「あら、先生、それ以上飲まれたら、帰れなくなりますよ」



「そうなったら、そこらのホテルにでも泊まるさ」




顔が引きつりそうになるのを必死に堪えて、薄く笑ってごまかす。




「あそこのホテルの最上階にね、いいカクテルを出すバーがあるんだよ。

一杯おごらせてくれないかい?」




そんなふうに言われると、無下に断るわけにもいかない。



でも、この色ボケ爺いが何を企んでいるかなんて、聞かなくたって分かる。




「………うーん、どうしましょう。

私もずいぶん飲んでしまいましたし、明日も早いですし………」




「じゃあ君も一緒に泊まっていくかい?

なんてね………」




「まあ、先生ったら」




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