ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
こういうとき、女であるということに心底嫌気が差す。



私はそこらへんの男の百倍仕事が出来るし、頑張っているし、それに見合う結果も出している。



それなのに、女であるという事実がいつでもつきまとってきて、


「女のくせに」とか、「女だから」とか、嫉妬まじりの腹立たしい言葉をぶつけられることが多々あるのだ。



私は確かに女であることを武器に使っていることもあるけど、それは男だって同じじゃないの。




「どうだい? 香月くん」




ーーーうるさいわね。



あんたみたいに、女と見れば鼻の下を伸ばしてやに下がる色ボケ爺いがいるせいで、

女が仕事をとってくると無粋な邪推をする奴らが出てくるのよ。




別に私は、操を守ろうなんて思っているわけじゃない。


清らかな乙女じゃあるまいし。



でも、男は、一度ものにした女に対して、すぐに興味を失う。


だから、一線を越えたら、男を思い通りに操るなんて不可能。



逆に、目の前に餌をぶらさげたままでいれば、こちらの意のままに動かすのは容易い。



だから、そんなに簡単にホテルなんかに行くわけにはいかないのだ。




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