ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
しばらく嶋田作品について語ったあと、朝比奈先生は私に目を向けた。




「智恵子がいつもお世話になっているそうで、ありがとうございます」




唐突にそんなことを言い出したから、私と嶋田先生は同時に「えっ」と声を上げた。


朝比奈先生は構わずに続ける。




「実は、僕と智恵子はお付き合いしているんですよ。


まだ日は浅いんですが……。

なんせ、光太と智恵っていう、名前からして運命の出会いなので。


初めて会った瞬間から強烈に惹かれ合いまして、いやぁ、僕はもう智恵子に首ったけですよ」




あはは、と能天気に笑い、朝比奈先生は私の肩を抱いた。


そして、さりげなく嶋田先生から遠ざけるようにする。



朝比奈先生が何を企んでいるのか分かり、私も話を合わせるように微笑んだ。




「ええ、そうなんです。

ほんと、運命の出会いで………」




自分の言葉に鳥肌が立ちそうになったけど、背に腹は代えられない。



嶋田先生にお持ち帰りされるくらいなら、朝比奈先生の恋人だと知られたほうが断然マシだ。




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